fc2ブログ

外に出てこない種子

 昨日,Cryptocarpic mammillariaのことを書きました.せっかく出来た種子が果実に包まれたまま植物体から外に出てこないというのは一体どんな意味があるのでしょうか,これを考察した論文を紹介します.植物学の用語でserotinyという言葉があります.遅咲きという意味もありますが,種子について用いられた場合,1年以上母樹から離れないことを意味します.ですからcryptocarpic fruitと同じ意味で使われています.もう一つprimingという言葉があり,これは種子が発芽する準備をするという意味になります. 
 さて本題です.最初の論文はSantini and Martorell (2013), Dose retained-seed priming drive the evolution of serotiny in drylands? An assessment using the cactus Mammillaria hernandeziiです.下の図のようにヘルナンデシーの種子は10月に開花して,翌年の5月に成熟し,一部は外に出ますが,一部の種子は翌々年まで母樹の中に残ります.
図①2023.
 実験では,4日間で十分吸水させ2日間で完全に乾かす,このような操作を4回繰り返すと何もしていない種子に比べて優位に早く発芽しました.このような乾湿によるプライミングは,母樹に残された種子でも起こるようです.降雨量が20mmに達すると母樹に残された種子が鞘から排出されることも実験的に確かめられました.早期に排出され土の上で自然にプライミングされるのは必ずしも効率的ではなく,母樹に留まってプライミングされた上で強い雨で排出されることは種の生存上意味があり,これがserotinyを進化させた理由であろうと著者は考えています.
 もう一つは,Rodorigues-Ortegaら(2006), Serotiny and seed germination in three threatened species of Mammillaria (Cactaceae)です.ここでは,ソリシオイデス,ヘルナンデシー,ナピナの3種が扱われています.下の図のようにソリシオイデスは平均24%,後の2種は5%程度の種子が母樹に留まっていた.それらは8年後も生存しており,ソリシオイデスとヘルナンデシーでは発芽率は経年低下したがナピナは若干上昇した.3種の種子は,古くなっても光発芽性を完全に維持していた,というのが結果の概要です.
図②2023
 Serotinyを示すいくつかのマミラリアは,その厳しい生存環境下でそのような生存戦略を進化させてきたようです.実際に栽培上では発芽が良くない種も見られるのですが,人為的な乾湿によるプライミングは試してみる価値がありそうですね.

面白い,なるほど,へーそうなの?などと思ったら下のサボテンの文字をポチっと押して応援して下さい、よろしくお願いします.
にほんブログ村 花・園芸ブログ サボテンへ
にほんブログ村
関連記事
スポンサーサイト



コメント

Secret

プロフィール

さぼちゃんだいすき

Author:さぼちゃんだいすき
金沢に生まれたボクは,熱心なサボテン少年でした.2010年,30年数年ぶりにサボテンに本格復帰.2020年末,長年の夢だった栽培場を開設.第二の人生は,サボテン中心に生きることを決意.残された時間は,心からサボテンを楽しむ事にした.

最新記事
最新コメント
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

アクセスカウンター
リンク
月別アーカイブ
検索フォーム
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR