銀霞の実生は皆同じ
銀霞は,松霞の白刺変種ということになっています.以前にM. prolifera subsp. haitiensisと書きましたが,マミラリアネットでは,M. prolifera のシノニムとされています.AndersonのCactus Familyでは4つの変種が記載されており,掲載されているM. prolifera subsp. haitiensisの写真は銀霞そのもののようにも見えます.また白刺のものをMammillaria prolifera subsp. texanaとしている方もいます.そもそも記載された変種がどれ程の差があるものかよくわかりませんし、日本で流通する銀霞が元々どのような学名の下にもたらされたのかも不明です.

名前はともかく手に入れた株は,どうも刺がチクチクするので,松霞のように触ってもあまり痛くないものが出来ないかなと,何度か種を蒔きました.でも出て来るものは本当に均一です.

M. proliferaは,皆花後に果実が出て種子が取れます.ああやはり自家受粉だと簡単には変異株は出ないなと思ってました.ところがふとした事で読んでいた本の中(Nobel著Cacti -Biology and Uses. 2002. University of California Press)に,M. proliferaは不定胚型のアポミクシスだとの記載がありました.引用された原典 (Rose, R. 1981.Chromosome counts, cytology, and reproduction in the Cactaceae. Amer. J. Not. 68:463-470.)に当たって見ましたが,これはさらに他の人の論文(Remsk, M.F. 1954. Cytological investigations in Mammillaria and some associated genera. Bot Gaz. 116: 163-171)をまとめたものでした.これはRemskがミシガン大学へ出した学位論文でした.この論文では,M. proliferaにはハイチ産の四倍体(2n=44)とキューバ産の六倍体(2n=66)があることははっきり述べられていますが,胚形成を組織学的に観察したわけではなく,調査した12個全ての種子から二つの実生が発生することからオプンチアに見られる珠芯胚と同じだろうと考察しているだけでした.高次倍数性とアポミクシスの関係は広く認められていますが,M. proliferaでの確実な証拠は未提出ってことになります.
なにはともあれM. proliferaの種子形成はアポミクシスらしいということで,それなら種子繁殖苗の中に変異を求めるのは極めて難しそうだということです.
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名前はともかく手に入れた株は,どうも刺がチクチクするので,松霞のように触ってもあまり痛くないものが出来ないかなと,何度か種を蒔きました.でも出て来るものは本当に均一です.

M. proliferaは,皆花後に果実が出て種子が取れます.ああやはり自家受粉だと簡単には変異株は出ないなと思ってました.ところがふとした事で読んでいた本の中(Nobel著Cacti -Biology and Uses. 2002. University of California Press)に,M. proliferaは不定胚型のアポミクシスだとの記載がありました.引用された原典 (Rose, R. 1981.Chromosome counts, cytology, and reproduction in the Cactaceae. Amer. J. Not. 68:463-470.)に当たって見ましたが,これはさらに他の人の論文(Remsk, M.F. 1954. Cytological investigations in Mammillaria and some associated genera. Bot Gaz. 116: 163-171)をまとめたものでした.これはRemskがミシガン大学へ出した学位論文でした.この論文では,M. proliferaにはハイチ産の四倍体(2n=44)とキューバ産の六倍体(2n=66)があることははっきり述べられていますが,胚形成を組織学的に観察したわけではなく,調査した12個全ての種子から二つの実生が発生することからオプンチアに見られる珠芯胚と同じだろうと考察しているだけでした.高次倍数性とアポミクシスの関係は広く認められていますが,M. proliferaでの確実な証拠は未提出ってことになります.
なにはともあれM. proliferaの種子形成はアポミクシスらしいということで,それなら種子繁殖苗の中に変異を求めるのは極めて難しそうだということです.
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