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キリンウチワの茎頂培養

 キリンウチワには大きな可能性があると思います.でも,一方で長らく栄養繁殖してきたキリンウチワはウイルスに罹病していると考えて良さそうです.暑い夏にこのような斑らが浮き出るのは要注意です.
キリンのウイルス班
 このためどうしても実生系の確立をしたいと思いました.以前にメキシコへ行った際に,ペレスキオプシス アクオーサの種子を頂きました.まあ取り敢えずこれでと繁殖して見ましたが,どうやらこの種は,多くのサボテンと接木親和性が良くありません.やはり種子生産しないとダメかと思い,それから数年色々やって見ました.日長,乾燥,肥料などなど,でも未だに花を咲かせることは出来ません.その後キリンウチワの花を見たという方をお尋ねしましたが,咲くには咲いたが一度きりのことで,再現できていませんでした.さらに自家受粉しても種子は乗らなかったとのことです.
 仕方がないので茎頂培養をして見ました.多くの栄養繁殖性の野菜,果樹,花卉類で茎頂培養によるウイルスフリー株が作られています.茎頂培養は,1960年に報告されたオールドバイテクです.
 まずは穂を用意します.活発に成長している茎の先端です.
キリン穂
 キリンウチワの茎頂は,普通の草花に比べてドーム(頂端分裂組織)がやや平たく,葉原基を取り除くと,どこが先端なのかわかりにくい形態です(不鮮明な写真でごめんなさい,真ん中の白い部分がドームです).0.5mmを目標に切り出して培養して見ました.約1ヶ月後小さな芽に再生しています.どうやら茎頂培養自体が難しい植物ではなさそうです.
キリン茎頂2019
 再生してきたシュートを節挿しで継代培養したのが下の写真.温度さえあれば取り出して順化することは難しくなさそうです.ごちゃごちゃやらずに最初から試みるべきでした.
キリン培養苗2019
 ある程度ビンの中で育ったので,外に出してやりました.最初だけ湿度の保持に気をつけてやります.この過程を順化といいます.特に問題なく,以後はすくすく育ちました.
キリン植え出し201
 さて,その上で最大の問題を提起しておきます.それはこれが本当にウイルスフリーなのか?という疑問です.実をいうと真にこれを確かめる術を持っていません.そもそも感染しているウイルスが何であるかがわかっていないと確かめようがないのです.それでは,この行為は無意味なのか?いえいえこれまでの園芸生産の経験からいえば,その効果は期待できます.後は実際に使って見てのことです.これをin vitroで増殖して,お世話になったキリンウチワ接名人に使っていただく事にしました.その評価を待ちたいと思います.ボクはボクでこの株を使って接木を進めています.

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さぼちゃんだいすき

Author:さぼちゃんだいすき
サボテン少年でした.

2010年,30年数年ぶりにサボテンに復帰.

2020年末,長年の夢だった栽培場を開設.

第二の人生は,サボテン中心に生きることを決意.

残された時間は,心からサボテンを楽しむ事にした.

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