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時不知の紅鷹

 残暑が厳しい中,それでも雨が降ると気温が下がり季節は秋へ動き出しているのが分かります.そんな雨の日,紅鷹(Thelocactus bicolor subsp. heterochromus)が2輪咲いていました.この紅鷹の花は季節に関係なく咲いてくるので,まさに時不知(時知らず)です.こんな素敵な花を一年に何度も見ることができるのですから,紅鷹は優秀なサボテンですね.
紅鷹晩夏2023
 この花の写真を上手に撮るのはなかなか難しいです.金属光沢のある花弁は,しばしば白っぽく写り,見た目そのままを表現することはできません.下の写真は,そんな中でもまあまあ良く撮れた方です. 
紅鷹晩夏花2023
 この紅鷹を手にしたのは12年も前のことです.毎年のように花が咲くと嬉しくて記事にしてきました.株径も2倍近くになりましたが,まだまだ元気なようです.こうして長らく付き合ってくれていることに感謝しています.

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秋移植進行中 

 お盆が過ぎて秋移植を始めました.まずは発根管理をしていた太平丸の接降ろしからです.今年は,短いキリン台を着けて降ろした太平丸たちには積極灌水で管理したので,発根は良好でした.ビニールポット一杯に根が広がっているものもありました.
秋移植太平キリン2023
 個鉢に鉢上げされ,何やら誇らしげです.これらは2020交配,2021播種,キリンに実生接,2年間の育成の後,初夏に接降ろししたもの達です.ここから2年ほどすると一応の評価ができるサイズになります.この後過去3年分ぐらいの若い太平達を順次移植します.
秋移植太平全景2023
 もぎ取りを専らとする袖接のランポー達もあっという間に発根しました.よく台木から外した後,発根するまで転がしておくような管理をしているのを見かけますが,ランポー類ではこれは時間の無駄.数日乾かして挿せば、大概のものはすぐに発根します.
秋移植もぎ取り2023
 ランポーたちは実生接される5-6mmの時に将来の顔を予測するのは困難です.たくさん作っても残したいと思うのは僅か,効率が悪いなとため息が出ます.
秋移植ヘキラン2023
 そして強刺類の大株たち.一昨年以前に移植をしたもの達を選び出し,植え替えをしてゆきます.ある程度のサイズになったフェロたちはあまり根を切りません.どちらかと言えば土を新しいものに交換するってぐらいの気持ちです.そしてこれ以上径が増えないように,同じサイズの鉢に植えます.大きくなりすぎて,どないしょ〜と嘆く方がたくさん居られる一方,15cmぐらいで惚れ惚れする姿の強刺類をつくられる方も居られます.高齢者にとっては,持ち上げられないようなサイズにはしないことが肝要.でもついサイズアップの鉢に植えたくなるんですよね,これはヒトのサガです.
 そしてこの秋移植の恒例,刺掃除です.赤刺金冠竜のビフォーアフターです.
刺掃除ビフォー2023.
刺掃除アフター2023
 秋移植の主要部分は,来週中には終わるように頑張ります.残暑が厳しいと気を抜いていると,これから先はあっという間に気温が下がって行き,秋空になります.

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外に出てこない種子

 昨日,Cryptocarpic mammillariaのことを書きました.せっかく出来た種子が果実に包まれたまま植物体から外に出てこないというのは一体どんな意味があるのでしょうか,これを考察した論文を紹介します.植物学の用語でserotinyという言葉があります.遅咲きという意味もありますが,種子について用いられた場合,1年以上母樹から離れないことを意味します.ですからcryptocarpic fruitと同じ意味で使われています.もう一つprimingという言葉があり,これは種子が発芽する準備をするという意味になります. 
 さて本題です.最初の論文はSantini and Martorell (2013), Dose retained-seed priming drive the evolution of serotiny in drylands? An assessment using the cactus Mammillaria hernandeziiです.下の図のようにヘルナンデシーの種子は10月に開花して,翌年の5月に成熟し,一部は外に出ますが,一部の種子は翌々年まで母樹の中に残ります.
図①2023.
 実験では,4日間で十分吸水させ2日間で完全に乾かす,このような操作を4回繰り返すと何もしていない種子に比べて優位に早く発芽しました.このような乾湿によるプライミングは,母樹に残された種子でも起こるようです.降雨量が20mmに達すると母樹に残された種子が鞘から排出されることも実験的に確かめられました.早期に排出され土の上で自然にプライミングされるのは必ずしも効率的ではなく,母樹に留まってプライミングされた上で強い雨で排出されることは種の生存上意味があり,これがserotinyを進化させた理由であろうと著者は考えています.
 もう一つは,Rodorigues-Ortegaら(2006), Serotiny and seed germination in three threatened species of Mammillaria (Cactaceae)です.ここでは,ソリシオイデス,ヘルナンデシー,ナピナの3種が扱われています.下の図のようにソリシオイデスは平均24%,後の2種は5%程度の種子が母樹に留まっていた.それらは8年後も生存しており,ソリシオイデスとヘルナンデシーでは発芽率は経年低下したがナピナは若干上昇した.3種の種子は,古くなっても光発芽性を完全に維持していた,というのが結果の概要です.
図②2023
 Serotinyを示すいくつかのマミラリアは,その厳しい生存環境下でそのような生存戦略を進化させてきたようです.実際に栽培上では発芽が良くない種も見られるのですが,人為的な乾湿によるプライミングは試してみる価値がありそうですね.

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マミラリア協会誌 2023 Aug

 表紙は,M.microheliaなのですが,国内でいう夕霧・朝霧とは随分と違う印象です.いくつかある記事の中で,気になったものを2つ紹介しておきます.
マミ協会8月①2023
 まずは「新しいマミラリア」という記事で,この10年余りで新たに報告されたマミラリアとして,M. bertholdii, M. rzedowskiana, M.occulta, M.breviplumosa, Cochemiea thomasiiが紹介されています.この中で注目したのは,下の写真はM. rzedowskiana,2017年に報告されたマミラリアです.石灰岩地帯に生えるマミラリアは珍しく,花も刺も美しい種です.
マミ協会8月②2023
 もう一つは「Cryptocarpic mammillaria」です.このCryptocarpicとは,cryptocarpic fruitすなわち隠果性果実をつくることを意味します.これは,通常の開花,受粉,果実(種子)形成を行うのですが,その果実が外に現れずに母樹の体内に長らく留まるものを指します.その生態的意義は色々と議論されていますが,この点はまた別の記事で詳しく述べることとして,マミラリアの中では,Longiflorae列およびLasiacanthae列などの種に見られます.この報文では,ルエティ,テレサエ,ヘルナンデシー,サンチェスメホラダエ,ペクチニフェラ,ソリシオイデス,ヘルモサナ,ベルトルディ,ブレビプルモサ,ナピナ,サボアエ,デヘルドチアーナ,雲峰,蓬莱宮,フィットカウイなどがこれに当たるとしています.確かにいずれも穿り出さないと種子が採れないものです.ただ経験的にではありますが,種子発芽が難しいものとそうでもないものが含まれていますね.発芽困難種については,有効な発芽促進法の開発が望まれます.

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亀甲ヘキランの進化

 10年以上前のこと,何十年ぶりにサボテンに本格復帰して驚いたものの一つとして,亀甲ヘキランがありました.早速彩仙園さんを訪ね元祖ヘラクレスを見せていただいたのは12年前のことです.その後この株の後継と称する自称ヘラクレスを複数のところから入手,それをもとに交配をして比較的大柄になっても5稜を保つ亀甲ヘキランができました.
ヘラクレ後代2023
 そうこうするうちに,下の写真にあるスーパー亀甲ヘキランなるものを入手しました.確かに隆起がとてもはっきりしていますが,全体的にやや小ぶりです.何かスーパーなのかよく分かりません.
スーパー亀甲蕾2022
 さらに有名なN氏の名を冠したモンストヘキランなるものを手に入れました.こうしたスーパーとかモンストとか訳の分からない名前のついたヘキランは,概して雌しべの出ない異常花を着けます.近親交配を進めたためでしょう.こうした者たちをベースに1枚目の写真のヘラクレスの後代と交配、戻し交配などして,そこから出てきたのが下の写真の株.確かにアレオレの隆起はでかいのですが,でもただそれだけかもしれません.
SKno12023
 有星類は,姿がシンプルな故に美しいのだと思っています.美しいランポーとは何か,模索が続いています.

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プロフィール

さぼちゃんだいすき

Author:さぼちゃんだいすき
サボテン少年でした.

2010年,30年数年ぶりにサボテンに復帰.

2020年末,長年の夢だった栽培場を開設.

第二の人生は,サボテン中心に生きることを決意.

残された時間は,心からサボテンを楽しむ事にした.

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