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グラキリスの分枝特性

 グラキリスの大株を見ていると主幹が三本立ちになっているものが大半です.どうしてこうなっているんだろうと思ってました.実生苗を育成してみて分かったのですが,最初茎は親指の様な形に育ちます.以前の記事に書いた様にグラキリスの子葉には腋芽があり,水と栄養の状態が良いと腋芽が伸び出し3つの成長点が形成されますが,栽培条件下と言えども稀なことです.
 早いものでは播種した翌々年に開花します.どうやらここがポイントで,パキポジウムは頂芽が花芽になり,花の着いた枝では翌年に下位の葉の腋芽が伸び始める,所謂仮軸分枝型の生育習性を持っています.この時ほとんどの場合3本の腋芽が発達するので,下の苗のように主幹が3本になります.
グラキリスの分枝2020
 その後三本の枝先にそれぞれ花がつくと再び枝分かれしますが,株あたりの枝先が増えた分,全ての分枝の先端で3本の腋芽が発達するのではなく,通常2本もしくは1本になります.これはエネルギーの配分からそうなるのかもしれません.下の写真では,花後に成長点が止まり,どうやら2箇所の芽が動き始めているのが分かります.
グラキリス花の跡2020
 開花した枝先は翌年に新しい芽を伸ばしますが,その新しい枝はは開花せず,しばらく成長してから開花するとまた再び分岐するという成長を繰り返すようです.大株を上から見るとこうしたパターンでの枝分かれの様子がよく分かります.
グラキリス大株分枝2020


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ランポーの増稜パターン

 普通,ランポー玉は5稜です.でも有星類の基本稜数は8で,いずれは8稜になります.しかし,人はこの稜数が少ない変異を拾い出し固定を試みて来ました.4,3,2稜と減陵してゆきますが,2稜は未だに稀です.4稜,3稜のランポーは,それぞれ四角,三角ランポーという名で呼ばれます.でも彼らもいずれは増稜して最後には8稜になります.
 この増稜過程には色んなパターンがあります.一つ稜が二つに分かれるパターンと稜間に新たな稜が現れるパターンです.下の写真5陵の個体が増稜しているところですが,この2つのパターンが見られます.
ランポーの増陵④2020
 次の写真は,元は四角ヘキランでした.真上と左上の稜がまずだいぶん前に分かれました.そして右上と左下の稜がほぼ同時に分かれ,最後に右下の稜が分かれて始めています.
ランポーの増陵③2020
 次は三角ヘキラン,それぞれの稜が二つに分かれています.よく目にする残念な瞬間です.3が倍になり6稜になる訳ですが,8稜になるにはもう一度どれかが増稜しなければなりません.
ランポーの増陵②2020
 次は少し珍しいタイプ.三角ヘキランなのですが,稜が一つ消滅し,他の稜が二つに分かれかけています.これは3稜で踏ん張っているといったところでしょうか.
ランポーの増陵①2020
 以上見た様に,8稜への道は地道に一つ一つ増えるのではなく,ある時複数の稜で増稜が起こることが多い様です.おそらく球体に近い形状を安定しして肥大させるためにその様になるのだと考えられます.またこの安定といった視点では,サボテンの稜の数黄金数列の順で3、5、8、13と増えていくことが多いのも興味深いことです.

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アロハドアの成長

 この変わった花が咲いたことを昨年記事にしました.今回は,その後の成長と再び開花するまでの記録です.
 花後秋になり新たな成長を開始しました.少し伸びて止まったのが11月のことです.
アロハドア19秋①
  成長点付近で花芽分化し,その後の栄養成長は,新たな成長点が形成されるのか,それとも成長点は継続されているのか興味あるところなのですが,外観からの観察ではなんとも言えません.その後冬が過ぎ春が来て移植してやりましたが,十分根付くも一向に成長再開せずじっとしていました.
アロハドア①2020
 梅雨頃になり成長点がモゾモゾ,ピンクの蕾が伸びてきました.
アロハドア②2020
 蕾の成長は早く,あっという間に開花.開花といってもご覧の通り先端をちょこっと開いただけです.覗き込むとなかなか可愛い花ですし,蕾がまた可愛いく,この仲間は観賞価値が高いサボテンですね.
アロハドア開花2020
アロハドア開花横2020
 Arrojadoa属は,ブラジルが故郷の小型柱サボテンです.花の形態は,送粉者がハチドリであることを窺わせます.こうした特殊な形態に進化して特定の生物と専属契約を結ぶと受粉効率は高まりますが,どちらかが居なくなると共倒れすると言う危険性も増します.故郷を遠く離れ健気に開花していますが,残念ながら近くに同種の個体もなく,またハチドリもいません.


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サボテンで6種類のウイルスの重複感染

 サボテンが同時に6種類の異なるウイルスに感染していたという報告です.文献は,Park et al. Detection of co-infection of Notocactus leninghausii f. cristatus with six virus species in South Korea. Plant Pathol. J 34: 65-70. です.この報告では,金晃丸綴化を用いて分析されています.綴化を用いた辺りからは,良くサボテンの栽培のことを知っていて研究が進められたことが 窺えます.
 結果を要約すると金晃丸綴化はcactus mild mottle virus(CMMoV)、cactus virus X(CVX), pitaya virus X (PiVX), rattaile cactus necrosis-associate virus(RCNaV), schlenbergera virus X(SchVX), zygocactus virus x(ZyVX)の6種のウイルスに同時感染していた,ということです.綴化株ですから,長年に渡り接木や切り取った一部を挿し木するなどして維持してきたいわゆる栄養繁殖系なわけで,ウイルスの重複感染はあっても不思議ではありません.ここから類推できることは,挿し木,接木を繰り返して維持している綴化株の多くは同じ状況にあるということです.
6種重複感染①2020
6種重複感染②2020
  これまでにサボテンに感染することが報告されたウイルスは,5属12種類のウイルスです.具体的にはTobamovirusu属のCMMoV, RCNaV, sammon’s opuntia virus (SOV), Carlavirus属のcactus virus 2(CV2), Potexvirus属のCVX, opuntia virus X (OpVX), SchVX, PiVX, ZyVX, Carmovirus属のsaguaro cactus virus (SCV),そしてTospovirus属のtomato spotted wilt virus (TSWV), impatiens necrotic virus(INSV)です.これらを見渡すとナイフなどを通じて,またアブラムシ,スリップスなど害虫を通じて多くのウイルスがサボテンと共存関係にあることが窺えます.ウイルスがいることがたちまち否定的状況かとかはまた別の問題ですので,その点は後日また改めて論じたいと思います.

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サボテンで同定されたはん紋ウイルス

 十数年前の報告なので新しい情報ではありませんが,サボテンのウイルス感染を知る上では大事な情報です.文献は,Min. et al. 2006. Cactus mild mottle virus is a new cactus-infecting tobamovirus. Archives of Virology 151:13-21.です.接木もののギムノカリキウムからTobamovirus属のCactus mild mottle virusが新たに同定されたという報告です.下の左側の写真にあるような病徴です.
CMMoV2020
 これまでTobamovirus属には,ナス科およびラン科に感染するグループ,アブラナ科に感染するグループ,ウリ科に感染するグループ,アオイ科に感染するグループが知られていましたが,サボテン科に感染する新たなグループになるようです.
 このCMMoVは,アブラムシ等による初期感染とのその後の機械的感染,つまり接木ナイフや移植時のハサミなどによる感染が想定されます.この報告でもサボテン業者はウイルスフリーの母株を用いることと器具の消毒が重要なであると指摘しています.上の写真で見る限り,台木は三角柱ですよね.長らく栄養繁殖されてきた三角柱が問題だったようですが,今は比較的簡単に三角柱の種子が手に入るので,実生苗を用いることが肝心です.

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プロフィール

さぼちゃんだいすき

Author:さぼちゃんだいすき
サボテン少年でした.

2010年,30年数年ぶりにサボテンに復帰.

2020年末,長年の夢だった栽培場を開設.

第二の人生は,サボテン中心に生きることを決意.

残された時間は,心からサボテンを楽しむ事にした.

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