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クリニタML690に見る多様性

 小型のマミ クリニタ(M.crinita)です.クリニタ自体はほとんど流通もしていませんし,特に注目もされていません.しかしデュエイ(M.duwei)が、クリニタの亜種(M. crinita subsp.duwei)とされることや,100均でもおなじみの月影丸が,かつてはクリニタの一系統(M.crinita f. zeilmanniana)とされたり,クリニタに包含するという考え方もあり,そういう意味ではメジャーなマミラリアだとも言えます.このML690の故郷は,SLP州 Estación La Ventura,標高1900mらしいのですが,そこから採取されたクリニタが示す多様性が今日の主題です.パッと見ただけで相当刺色の違いが見て取れます.
ML690クリニタ①2022
 これを斜めから見るとその違いは一層際立っています.小さい時のカギ刺の有無,その色,さらに側刺の色の違いにより異なる印象が作り出されている様です.
ML690クリニタ②2022
 デュエイにもカギ刺の有無,カギ刺の色の違いがあります.またメキシコで見たデュエイは同じサイトにカギ刺の有無が同居していました.こうして数を蒔いて見るとその種が包含する変異の幅が見て取れて楽しいものです.

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セニリス兄弟とその二代目

 旧ネオポルテリアのセニリスFK422(Eriosyce senilis)の比較的大きな株が2つウチに居ます.小さい時はかなりはっきりと刺色が異なり白髭とブラウン髭といった感じでした.しかしウチに来てから10年以上経ち,両者の違いはあまりはっきりしなくなっています.本当に老人(セニリス)になり,ともに白髪になったのでしょうか.まだまだ元気でいてほしいのですが.
セニリス兄弟2022
 この両者の二代目をと思い,種子を採っているのですが,どうしたことか発芽率は大変低く,いっぺんにたくさんの実生を生産できません.それでもなんとか生えて来たものをキリンに乗せてみたのが下の写真です.ちゃんと白髭とブラウン髭に分かれています.うーんなるほどね,この異なる刺色の遺伝子はちゃんと保存されているんだなと感心しました.
セニリス兄弟の子2022
 フィールドナンバーのついたサボテンの維持は如何にあるべきかはとても気になるところです.そもそもFN付きの種子を供給している会社はどれだけの個体を持ちその相互交配をきちんとやっているのかは不明です.ある地域のサボテンがある程度の変異を示す時に,その変異の幅を維持するのにどれだけの個体を用意すれば良いのかは,実のところあまり明らかではありません.でも今回のように少数でもちゃんと形質の違いが後代にも出ると少し安心しますね.もうしばらくするとネオポルテリアの花の季節がやって来ます.北陸に生まれ,誕生日が2月のボクはこのネオポルテリアの花が春への光のように思えて大好きなのです.

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シワ花のイボ芸

 園芸植物には「葉芸」という言葉あります.奇品と呼ばれるちょっと変わったものを珍重してきた古典園芸において,葉の形態,斑入り模様の変化などを「葉芸」と称して微妙な差異に名前をつけて区別しました.こんな日本で揉まれた岩牡丹は,まずは花牡丹,玉牡丹という区別(イボの先にアレオレがあれば花牡丹,なければ玉牡丹)がなされ,その上にイボの色合いや模様などから,青磁,カリフラワー,怒涛などが区別されました.これらはいかにも日本の園芸らしいものです.イボ上の突起が更に膨らんだものをモンストと呼んだりしますが,他のサボテンに使われるモンストという言葉の定義からするとちょっと首を傾げたくなる使い方です.
シワ花2022
 この株のイボを見ると,皺(シワ)とも罅(ひび)とも違う表現の難しい形態ですね.カリフラワーや怒涛とも確かに違う.こうした「芸」の面白さを楽しむところが岩牡丹系の楽しさでもあります.
シワ玉イボ2022
 この株の花はほぼ白ですが,外側が少し色付きます.清楚という意味では白系の花がこの株には似合います.
シワ花の花2022
 ウチにはあまりたくさんの岩牡丹系はいませんが,個性豊かなものが多いので,気に入ったものを置くという楽しみ方ができるのは良いことですね.

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アンドロメダの模様の出方

 アンドロメダヘキランの記事を書いたのは3年前のことです.その後交配,採取,播種,キリンの実生接ぎと進みました.この間アンドロメダ模様はどういうふうに作られるのか興味を持って見ていました.3年前の記事に登場したものの現在の模様は下の写真のようです.
アンドロメダ親木2022
 模様の部分を拡大してみるとわかるのですが,これは斑と違います.表皮のクチクラ層の構造変異だと思います.表面に小さな穴が空いているのかどうか,これはSEMで見ないとわからないのですが,おそらくクチクラ層の中か表皮との間に空隙があってそれが白く見えるのだと思います.葉の表面が白く見える植物は結構ありますが,その多くは表層付近の空隙が原因で,光の乱反射で白く見えるのです.雪が白く見えるのと同じ原理です.
アンドロメダ模様2022
 次の写真が最初の実生接ぎの株の今年4月の様子の1例.ある程度のサイズになっているのですが,いずれの株も全体が白肌.このままずっと白肌なのも面白いけど模様はどうなるのかなと見ていました.
アンドロメダキリン台2022
 秋になり,再び成長を開始した彼らは青肌の部分が出てきました.3株並べて見ましたが,模様には個性がありますよね.いずれの株も青肌の出た時期は同じようです.同調していることから,成長の再開そのもの,もしくはその時の温度か,何か理由がありそうです.
アンドロメダ子①2022
アンドロメダ子②2022.j
アンドロメダ子③2022
 今年もまたアンドロメダを実生接ぎしています.元々兄弟と思われるアンドロメダ同士の交配だからでしょうか,どうも異常形態が多いのです.他の血を入れないとなあと思っています.

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富袖の果実と後代

 富袖はエキノプシスウンドラータに臥龍をかけて作られたとされ,作者の名をとって通称‘富袖’と呼ばれているものです.花は中々清楚でボクは好きです.接木の台木として使えるのかどうかは不明ですが,成木の成長具合を見るとこのままでは期待薄です.
富袖の花2022
 どうしたら着果させられるかは以前に記事にしたように,花袖,夢袖などの花粉でも着果するのでおそらく袖ヶ浦の花粉でも大丈夫で,今回プシスのウンドラータの花粉をかけたら予想通り着果しました.
富袖果実2022.
 先に採れた富袖×花袖の種子を蒔いたものですが(写真中央の3列),なんとなくバリーエーションがありそうですね.もし普通にかかっているのであれば面白いことです.
富花実生2022
 今回の富袖×ウンドラータの種子はある程度採れたので,興味のある方には少量ですが差し上げます(PCヴューにして左のカラムにあるメールフォームからご連絡ください).生えるかどうかもわかりませんが,親とは違ったものになればそれはそれで面白いではありませんか.

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プロフィール

さぼちゃんだいすき

Author:さぼちゃんだいすき
サボテン少年でした.

2010年,30年数年ぶりにサボテンに復帰.

2020年末,長年の夢だった栽培場を開設.

第二の人生は,サボテン中心に生きることを決意.

残された時間は,心からサボテンを楽しむ事にした.

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