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マミラリア協会誌 2023 Aug

 表紙は,M.microheliaなのですが,国内でいう夕霧・朝霧とは随分と違う印象です.いくつかある記事の中で,気になったものを2つ紹介しておきます.
マミ協会8月①2023
 まずは「新しいマミラリア」という記事で,この10年余りで新たに報告されたマミラリアとして,M. bertholdii, M. rzedowskiana, M.occulta, M.breviplumosa, Cochemiea thomasiiが紹介されています.この中で注目したのは,下の写真はM. rzedowskiana,2017年に報告されたマミラリアです.石灰岩地帯に生えるマミラリアは珍しく,花も刺も美しい種です.
マミ協会8月②2023
 もう一つは「Cryptocarpic mammillaria」です.このCryptocarpicとは,cryptocarpic fruitすなわち隠果性果実をつくることを意味します.これは,通常の開花,受粉,果実(種子)形成を行うのですが,その果実が外に現れずに母樹の体内に長らく留まるものを指します.その生態的意義は色々と議論されていますが,この点はまた別の記事で詳しく述べることとして,マミラリアの中では,Longiflorae列およびLasiacanthae列などの種に見られます.この報文では,ルエティ,テレサエ,ヘルナンデシー,サンチェスメホラダエ,ペクチニフェラ,ソリシオイデス,ヘルモサナ,ベルトルディ,ブレビプルモサ,ナピナ,サボアエ,デヘルドチアーナ,雲峰,蓬莱宮,フィットカウイなどがこれに当たるとしています.確かにいずれも穿り出さないと種子が採れないものです.ただ経験的にではありますが,種子発芽が難しいものとそうでもないものが含まれていますね.発芽困難種については,有効な発芽促進法の開発が望まれます.

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マミラリア協会誌2023 Feb.号

 マミラリア好きにとってイギリスのマミラリア協会は,頼りになる情報源です.昨今web上で無料で読むことのできるサボテン関係雑誌は多数あるのですが,やはりマミラリアに特化したといえばこれです.先日この小冊子をお供に短い電車の旅,30頁余りのボリュームがちょうど良かったです.
マミ協会2023
 内容は,分類や自生地の詳しい記事から,私のマミ自慢的なくだけたものまで,いかにも同好会らしい内容です.しかしなかなか侮れないのが,下のようなマミの自生地の写真,興味深いものばかりです.
マミ協会②2023
 会員になると過去の雑誌のアーカイブがPDFで取れるので,それなりの価値があります.

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カレル チャペックのシャボテン

 「園芸家12ヶ月」という本を友人に教えてもらいました.この本は新しい本ではありません.著者のカレル チャペックはチェコの作家で,この本の元になったものは,1927〜28年に書かれた新聞のエッセイです.園芸愛好家の生態を,1年の各月毎に面白く可笑しく捉えています.読みながらなるほどその通りと頷くことしばしば,園芸愛好家あるあるそのものです.
 この本をここで取り上げるのは,「シャボテンつくり」という小見出しの小さな節があるからです.園芸愛好家の中でもシャボテン栽培者がいかに狂信的信徒であるか縷々述べられています.なるほどその通りだと,今もかわらないないなと納得の内容です.そして武骨なサボテンが花を咲かせる神秘的瞬間こそがサボテン栽培の魅力であることをちゃんと述べています.著者の周りにシャボテン愛好家いたこと,もしくは著者自身がそうであったことが窺えます.
園芸家12ヶ月2023
 近年チェコの方々がメキシコで精力的に活躍されていますが,古くから熱烈なサボテン愛好家が彼の地には居たのだと認識を新たにしました.

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サボテンの文化誌

 原書房の〇〇の文化誌シリーズの一つ,「サボテンの文化誌」です.文化誌という言葉の定義は曖昧ですが,サボテンと人との繋がりが主題です.本書は,植物として,芸術の対象として,食物としてのサボテンなど多様な側面から書かれています.随所に差し込まれた美しい写真が楽しく,それぞれの話題を楽しみながら読ませます.
サボテン文化誌①2023
 原題は「Cactus」, 著者のダン トーレ(Dan Torre)は,メルボルン工科大学の教員で,メディアやアニメの専門家らしいのですが,熱心なサボテン栽培家のようです.サボテンを愛する皆さんに是非ご一読をお勧めします.
サボテン文化誌②2023
 ちょっと気になったことがありました,漢字です.これは著者ではなく訳者の責任なのですが,アレオレには「刺座」を用いながら個別のトゲの表記には「棘」を使っています.「とげ」は先端が尖った突起物を表す言葉で,確かに漢字には棘と刺があるのですが,植物用語辞典(八坂書房)および園芸学用語集(養賢堂)ではともに「刺」を用いており,文学作品はともかく,生物としての植物の表記に使うには刺か良いのかなと思います.

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新しい楽しみ方の提案

 こんな素敵な本が出版されました.ハビタットスタイルという聞きなれない言葉がタイトルです.ハビタットとは,自生地という意味です.擬似原産地栽培なのかなと思いきや,著者の一人の河野忠賢さんは,原産地の再現ではなく,想像力を高めて原産地に思いを馳せる行為がハビタットスタイルの本質であると述べています.なるほどねー,要は見て楽しむ,想像して楽しむってことなんだなと理解しました.うーんサボテンはやはり盆栽に近いのかな.ボクはとある会議で,盆栽,サボテン,ランを比較対象としてパキポジウムの価値分析を行い,パキポジウムについて園芸研究は何をなすべきかを論考しました.盆栽には自然が凝縮された世界(ミクロコスモス)があり,それが人工的にかつ時間をかけて作り出され続けることで価値を生んでいます.また盆石という砂と石による縮景芸術があり,これに植物が加わると盆景という造形芸術になります.このハビタットスタイルという言葉は,何やら新しい言葉のようですが,多肉盆景そのものです.
ハビスタ
 ボクはまだメキシコには2回しか行ったことがなく,サボテンの自生地の包括的理解からは程遠いのですが,それでも少なからぬなじみのサボテン達が緑豊かな植生の住人であることも知っています.でもこの本の写真を眺めていいなと思うボクの心には,世の中のほとんどの人が持つ「サボテンの故郷は荒涼たる礫漠の地だ」というステレオタイプが存在していることが窺えます.
ハビスタ②2022
 ボクは本書のようなサボテンの楽しみ方は悪くないなと思います.でもこれを実践するとなると栽培面積が何倍も必要になり,多様性が命のサボテンでは結構悩ましいところですね.色々並べて観たいのか,妄想の小宇宙を目の前に実現したいのか,当面はまだ色々並べて観ていたいというのが今の正直な気持ちです.

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プロフィール

さぼちゃんだいすき

Author:さぼちゃんだいすき
サボテン少年でした.

2010年,30年数年ぶりにサボテンに復帰.

2020年末,長年の夢だった栽培場を開設.

第二の人生は,サボテン中心に生きることを決意.

残された時間は,心からサボテンを楽しむ事にした.

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